統合失調症,原因

情報伝達係――脳内物質ドーパミンとは

統合失調症は脳が思考能力低下を起こしてしまい、それが身体に現れてしまう病です。
「ドーパミン」という脳内物質の増減が、この病の原因ではないかということが研究で最も有力な説としてあげられています。

このドーパミンは脳内の神経細胞間で情報を伝達する際に使われる脳内物質の一つで、役目は興奮を促す・人が行動する動機付けをするもので、人が何かをしようと考える前にこのドーパミンが分泌されて行動にでるという形が分かっています。

分泌量は多すぎても少なすぎていけない

ドーパミンの分泌によって感情や行動に変化が現れます。例えば何らかの原因でドーパミンが増えすぎると、行動への動機付けが間に合わなくなり理解不能な言動を繰りかえし、同時に興奮作用も高まって幻視や幻聴が頻繁に起こるようになります。
陽性症状の原因は脳のドーパミン増加量の異常が引き起こしたことなのです。

次に分泌量が少なすぎると行動への動機付けがなくなっていき、人や物事に対する関心が低下していき、無気力な精神状態が長期に渡って続きます。
陰性症状の原因は脳のドーパミン減少量の異常が引き起こしたことなのです。

これらのことが判明しているおかげで、ドーパミン量を調節することにより症状が軽減していることも分かっています。
しかし、なぜドーパミンの分泌量が異常になってしまうのかという原因については判明していません。

身体の健康を守る――グルタミン酸とは

他の原因として考えられるのがグルタミン酸という物質です。
この物質は身体に有害なアンモニアをグルタミンに変えて対外に排出する役目や、疲労・ストレスを軽減しやる気を向上させる必須アミノ酸です。

ドーパミン仮説に変わるグルタミン酸仮説

グルタミン酸は体内で生産されるため不足することはないのですが、ある麻酔薬にはグルタミン酸を収容するグルタミン酸受容体という物質の活動を阻害する働きがあり、重要な神経活動を抑えていました。
その結果、陰性症状のような気力の低下や感情が乏しくなる症状が現れるようになり、その麻酔薬は使用中止となりました。さらにグルタミン酸を過剰摂取すると神経が高ぶってしまい、妄想や幻覚症状といった陽性症状に似た言動をとることが判明しています。

これらのことはドーパミン仮説よりもはっきりとしていることが多いため、グルタミン酸仮説が現在病を引き起こす原因として有力だと言われています。

解明されきれていない病――原因究明について

ドーパミン仮説とグルタミン酸仮説以外にもまだいくつか原因はあげられているのですが、この二つの仮説以外はあまり判明している点がないので、原因としての信憑性はまだ低いです。

例えば遺伝的なものが原因と考えられる説は、双子のどちらかが発症するともう片方も発症する可能性が高いというものですが、周りの環境や受けてきた境遇によっては発症することがないこともあり、この確率は曖昧なものとなってしまうのです。
他にも脳の前頭葉に異常があるという説や周囲の環境がトラウマ等の大きな心理的ストレスによる発症説等がありますが、確たる答えは出てきていません。
原因としてそれらしいものはあがっても、それを研究していくうちにどこかで壁に突き当たってしまうのが原因究明の難しいところです。

現代医学が進んでいる世の中でも、まだまだ原因不明の病というのはたくさんあり、精神から身体へ影響する病というのはその代表例と言ってもいいでしょう。

私たちは日頃病気や怪我に気をつけて生活していますが、原因不明という恐ろしい力を持った病がどこで待ち受けているのかということまでは分からないので、健康体の身体を維持することを心がけておくのが原因不明である病対策の一つかもしれません。

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