統合失調症,薬

精神と生活を平常へ戻すために――使用される薬

統合失調症で考えられる病の原因が、脳の神経伝達物質の異常なのでそれを元に戻すことが出来れば精神も回復することができるため、神経伝達物質が多すぎていれば減らし、少なすぎていれば増やすように微調整を行う必要があります。
その際に使われる薬が「抗精神病薬」と呼ばれ、この病に使われる薬の主流となっています。

この薬は用途によって大きく3つに分けられるので、それぞれどんなものか確認していきましょう。

抗精神病薬(メジャートランキライザー)
薬名 使用したことで見られる効果
定型抗精神病薬 多すぎる神経物質を遮断することで、妄想・幻覚を緩和させる。
陽性症状によく効く。
非定型抗精神病薬 少ない神経物質を増加させるよう促すことで、落ち込んでいる気分を元通りにさせる。
陰性症状によく効く。
時効性抗精神病薬 定型抗精神病薬が長時間効くように作られた薬。
効能は同じ。

他にもきちんとした睡眠で回復を図るため、睡眠薬が投与されることやうつ状態が酷ければ抗うつ薬が投与されることもあります。
症状に合った薬が開発されたおかげで、病から精神が回復できるようになったのです。

症状に合わせた対策を――分けられる薬の違い

この病は精神という慎重に扱わなければならない部分を侵食するので、そこを治療する薬も重要になってきます。
そのため症状をよく見極めて、効能がしっかりと発揮される薬を投与するため、薬もいくつかに分別されているのです。

今度はこの薬たちがそれぞれ症状にどう効いていくのか解説していきます。

陽性症状に適した薬――定型抗精神病薬

定型抗精神病薬とは、興奮状態やありもしないことに敏感に反応してしまう陽性症状の原因となっている増えすぎた神経伝達物資から、それを受容する場所への運搬を一時的に遮断する薬です。

これによって過剰だった脳の反応が正常に戻っていき、陽性症状が治っていくのです。
この薬には他にも、興奮状態を抑えることによって睡眠効果を促す効果や神経伝達物質の増加による嘔吐感などを解消する効果も見られます。

今では一度の服用で長期に渡った効能を発揮する「時効性抗精神病薬」というこの薬の改良版が開発されています。
しかし、陰性症状に対してはどちらもあまり効果が見られないためこの薬は陽性症状にしか使用されません。

陰性症状に適した薬――非定型抗精神病薬

定型抗精神病薬には陰性症状に対する効果は見られませんでした、そこで新たに開発されたのが非定型抗精神病薬です。

この薬は異常だった神経物質を正常な数値に戻すだけではなく、他の脳内物質にも症状に効くように働きかけるので陽性症状にもある程度効用があり、陰性症状にとてもよく効くことが判明しています。
ただし、陽性症状の興奮状態などは抑えることはこの薬では難しいので注意が必要です。

定型抗精神病薬に比べて、発生する副作用も少ないため海外では統合失調症に対する薬としてこちらの方が使われるようですが、日本ではまだ開発したばかりなので種類が少ないのが難点です。

回復に向けて――治療薬の意義

ここまで薬について説明してきましたが、この病は他の病と違って薬を飲んでいるだけで治るような簡単な病ではありません。
例えるとこの病は操縦不能となった船であり、舵の操作もままなりませんが、薬を服用することで舵を操作できるようになります。
しかし船は日常生活という航路から大きく外れたため、それを今度は修復しなければなりません。船を操作する舵の調整をするのが薬の役目であって、正常な航路に戻していくのは心理療法の役目です。

薬はあくまで病から身体を回復させる手助けであり、完全に治すには自分自身と誰かの助けを得て病を克服できるのです。

薬だけに頼らずに、周りと助け合って病に打ち勝ちましょう。

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